「浮気」の定義

「浮気」という言葉の定義であるが、『時代別国語大辞典』によれば、室町時代では「浮気」あるいは「上気」は、「心がうわついて、じっくりとした思慮分別に欠けるさま」、「またその上うな粗忽な性質」を意味したようだ。

現在でも、このようなことが「浮気」の第一番目の意味として説明されている。ちなみに『日本国語大辞典』では、次のようである。

①うわついて落ち着きのない性質や状態。心がうかれて思慮に欠けている状態。うわっ調子。

②陽気で、はでな性質や状態。ぱっと人目につくさま。

③気まぐれに異性から異性へと心を移すこと。決まった妻や夫、婚約者などがいながら、他の異性と恋愛関係を持つこと。また、そのさま。好色。多情。

いずれにも十七世紀の文例が挙げられているが、もちろんここでは、この③についての「浮気」を考えたいのだ。

ただし、この「恋愛関係」という表現も、いささか不明瞭である。『角川古語大辞典』では、四番目の意味に「定った相手があるのに、ほかの相手にも思いをかけ、色恋をすること」とある。

「色恋」とは『大辞林』で、「男女の間の情事や恋愛」と、これまたはっきりしないが、ここでは「肉体関係」、より具体的にはディープーキス以上の性的関係と勝手ながらみなしたい。

まあ、大人の世界なら、ディープーキスはセックスを前提とした行為と考えられるのではないか。(というか、私としては、セックスしてもいいと思うくらいの相手でなければ、ディープーキスなんてしたくない。(いや、セックスはいいが「キスは嫌」という女性もいるらしいが。)

おそらく、ディープーキスまで進んだら、物理的になんらかの障害のない限り、現代日本においては、セックスに至ることが多いと思われるがいかが?

いやあ、「肉体関係」といえば、セックスでし上、いくら「ディープ」でも「キス」なら不貞行為に当たらないIこんな反論もあるだろう。だが、それなら、何をすれば「セックス」なのか。

プレイボーイにおいては、男性性器を女性性器に挿入しなければいい、挿入しても射精しなければいい、射精してもコンドームをつけていれば(つまり精子が女性の体内に入らなければ)いい、と、「浮気」のガイドラインが、めちゃくちゃだったりするのだ。あるいは、べッドインはしたものの、緊張しすぎて……とか。だがこれも、私は「浮気」に含めたいと思う。

また、よく使われる詭弁のような弁解、つまり「これは浮気ではなく本気」と言って、自分の誠実な愛情を表そうとするむきもあるが、精神面がどうあれ、「定まった相手」と別れないで、他の異性(ときには同性?)とのディープーキス以上の関係は、「浮気」と呼ぶ。また「本気」どころか、まったく「気」と無関係の行きずり、もしくは売春的行為も、「浮気」に入れる。

さらに、「男性の場合は浮気で、女性の場合は不倫」という認識が世間にあるようなことを、『オシドリは浮気をしないのか』で山岸哲は述べているが、ここではそのような性的区別(差別?)をしない。